すっかり変わった場所と全く変わらない場所
豊海埠頭を後にして再び黎明大橋を渡り、晴海に戻った。
今度は運河沿いではなく、埋立地の真ん中を抜ける広い道を歩く。
この奥に広大な工事現場が広がっている事を予感させない、まるで完成された綺麗な都市を思わせる大きな交差点で目に入ったのは、東京オリンピックの選手村建設地の看板である。
数時間前に眺めていた朝潮運河とは背中合わせの様な土地だが、あちらは既に人の生活がある街、こちらはこれから幾多変転していく街並みというべきであろう。
この埋立地を奥に進んで行くと、晴海客船ターミナルに行き着くはずである。
そして2000年当時、その手前には確か海産物関係の埠頭や倉庫群があったはずなのだが、この風景を眺めてグーグルマップに照らし合わせてみると、それらがすっかり選手村の建設地に飲み込まれてしまっている事に思い付かされる。
これらの建物はオリンピックで各国の選手の宿泊施設として使われ、その終了後には集合住宅として販売される事になっているらしい。
これが2003年頃、客船埠頭の手前にあった倉庫群の一部を撮ったものである。
その前の埠頭の際にあった、雑草の生えた車止めと朽ちかけた防舷材。
これらの景色は、既にかなり前に失われてしまったという事なのだろう。
朝潮運河の記事にも書いたが、僕がこの界隈を頻繁に訪れていたのは、リオデジャネイロに負けた前回のオリンピックに於いて、東京が開催地として立候補する前の事である。関係者はその時には既に動き出していたのかも知れないが。
やがて、上の工事中のビルの写真も、この写真と同じく懐かしい一枚になるのだろう。
朝潮運河の記事にも書いたが、僕がこの界隈を頻繁に訪れていたのは、リオデジャネイロに負けた前回のオリンピックに於いて、東京が開催地として立候補する前の事である。関係者はその時には既に動き出していたのかも知れないが。
やがて、上の工事中のビルの写真も、この写真と同じく懐かしい一枚になるのだろう。
さて、客船ターミナルには、どうなのだろうか?
奥に行ってみよう。
奥に行ってみよう。
豊海埠頭からも眺める事が出来たが、客船ターミナルの外観は全く変わっていない様である。
外の階段を上がって正面のエントランスを潜ると、恐らく外国人向けに日本の雰囲気を味わってもらおうという様なディスプレイがなされていた。
この時はちょうど大型客船が着き、大勢の外国人が下船して専用バスでどこかに移動して行ったところだったが、そうした時以外は利用者がそれほどいるとは思えない施設で、コンクリート打ちっぱなしで照明が落とされた館内は、少し寂しい雰囲気である。
奥に進むと、とても懐かしいものが目に入って来た。
このオレンジの椅子である。
この椅子は、昔と全く変わっていないと思う。
これは当時の写真。
使用頻度が低い為にメンテナンスが不要なのだろうか?
本当に変わらない。
椅子に置いてあるリュックは僕の持ち物である。当時は専ら自転車で動いていたのでタイヤの空気入れを持ち歩いていて、それが上にはみ出している。
椅子のある場所は天井まで全面ガラス張りになっていて、東京湾を見渡す事が出来る。ここから望める対岸の芝浦や品川辺りのビル群は大分変わったはずだが、細かい事までは憶えていない。レインボーブリッジは当然、当時のままの姿である。
暫くの間、懐かしい椅子に座って景色を眺めた後、外に出てバスロータリーから晴海運河側の景色を眺めてみた。対岸は豊洲で、手前に豊洲大橋、それにほぼ重なっているが、その奥に首都高速10号線と晴海大橋が見える。
僕はこの橋を実際に見たのは初めてで、当時はまだクレーン船が運河に橋脚を立てる為の杭うちをしている段階だったと記憶している。
これだけでも風景が劇的に変化していると言えるが、それにも増して僕にとって感慨深いのは、晴海ふ頭から正面に見える、対岸の豊洲の風景である。
これが現在の晴海客船埠頭。
ここから見えるのは、ニュースなどでもさんざん話題になった豊洲市場である。
綺麗に整備された、東京の新しい風景。
そしてこれが2000年当初、ガス埠頭と電力埠頭が並んでいた頃である。
もっとも、この頃は既にその役目は終えつつあったのかも知れない。
この場所に築地市場を移転させようという計画が公表されたのはいつの事だったかはもう憶えていないが、懐かしい場所が話題になった事で、何となく心が躍ったのは確かだ。
しかし、この写真を撮った頃から考えると、東京オリンピック招致実現も築地市場移転もまだまだ遥か先の事である。
この場所が、先の使い途も定かでないまま、放ったらかしの深い緑に飲み込まれつつあった、ある時代の風景である。
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それでは、今回はこの辺で。
また次回もよろしくお願い致します。
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